商談で情報を効果的に伝えるためには、物語仕立てで伝えることが非常に有効だといわれています。
情報保持や想起については、さまざまな研究が行われています。
情報の伝え方によって、それがどのように受け取られ、相手の脳にどのように保存されるかが変わってきます。
では、どのような仕組みになっているのでしょうか?
世界銀行などの研究によると、
人間の脳が情報を保持できるのは、
事実やデータなどの情報の場合、
与えられた情報全体の
5パーセントから10パーセントだと
いうことがわかっています。
人間の脳は事実やデータを
長期間保持するのが難しいため、
視覚的な資料やストーリーを使うことで、
情報の記憶率が大幅に向上します。
これは、多くの研究で実証されています。
例えば、ロンドンビジネススクールと
スタンフォード大学が行った実験では、
以下の結果が示されました。
学生のグループに対して同じ情報を
3つの異なる方法で伝えました。
1つ目のグループには事実とデータのみを、
2つ目のグループには視覚的な資料を添えて、
3つ目のグループには物語仕立てで伝えました。
その結果、
事実とデータのみを伝えられたグループは
情報の5パーセントから10パーセントしか
記憶できませんでした。
しかし、視覚的な資料を添えたグループは
20パーセントから25パーセント、
物語仕立てで伝えたグループは
65パーセントから70パーセントの
情報を記憶していました。
実際にビジネスの現場でも、
この原則は有効です。
あるソフトウェア企業では、
新製品のプレゼンテーションにおいて、
単なるスペック紹介だけではなく、
製品がどのように顧客の問題を
解決するかを物語として伝えることで、
商談の成功率が飛躍的に向上しました。
また、営業担当者が自社製品の
利用例を具体的に話すことで、
顧客の関心を引き、
製品の価値を深く理解してもらう
ことができました。
この結果、その企業は競合他社よりも
高い成約率を達成しました。
さらに、広告業界でもこの手法は
広く使われています。
ある大手飲料メーカーは、
新製品のプロモーションにおいて、
商品の特長を列挙するのではなく、
その商品が登場する感動的な
ストーリーをCMとして放映しました。
このCMは多くの消費者の心を掴み、
製品の売上が大幅に増加しました。
消費者は単なる製品情報よりも、
ストーリーを通じて商品に
感情移入しやすくなるため、
ブランドに対する愛着が高まるのです。
このように、物語を利用することで、
商談やプレゼンテーションでの情報伝達が
3倍以上効果的になることがわかります。
ビジネスにおいては、
単なるデータや事実だけでなく、
それらを物語に組み込むことで、
相手の記憶に残りやすくし、
より強い印象を与えることができます。